こんにちは。こま武蔵台団地で設計事務所を営んでおります石塚と申します。
こま武蔵台を気に入りテラスハウスを新型コロナ真っ最中の2020年12月27日に内覧しすぐに申し込み、年明け即購入という、新型コロナがなかったらそんな判断もしなかったかもという決断の速さでした。
あれから5年と4か月、あっという間に時は流れ、当時勤めていた会社を退職し、お気に入りのここに設計事務所を構えました。この連載では、郊外戸建て住宅団地ではおなじみ、日ごろは疎まれている坂や階段が実はいかに魅力的なスポットかをお話していきたいと思います。
こま武蔵台団地は西武池袋線高麗駅前の南側、高麗丘陵のふもとにに広がる約93ha2,200戸ほどの戸建て住宅団地です。最も標高が低い高麗駅前から団地内に向かう道はずっと登り坂で団地内標高差が約77mあり、坂道や階段だらけです。団地内に階段は17か所ありどれも地形や景観に大きな変化をもたらすポイントとなっています。
団地の高いところから高麗駅を利用する方は、まさに朝は良い良い(ずっと下り坂)、夜は怖い(ずっと上り坂)という状況だったかもしれません。こま武蔵台での買い物は1丁目のショッピングセンターか5丁目のローソンとなりますが、団地の中で程よく離れた位置にあるので重宝していますが、それでもシニア期になるとちょっとした移動、それも段差を伴う移動は大変なものです。

そこで階段の出番です。だいたいどこの階段でも下から登っていき、登りきったところを振り返ると、さすが丘陵地につくられた住宅地だけありすばらしい眺めが待っています。しかも階段によっては登り切ったところにちょっとしたスペース(すぐに道路を合流するのではなく”たまり“みたいな空間)があり景色を眺めながらホッと一息つくには都合の良い空間です。
階段を登り切ったご褒美にすばらしい景観が眺められるのと同時にここにお茶が飲めるベンチがあったり、更にはここのスペースにキッチンカーが来てくれたら、そのベンチでご飯も食べられたり、それから移動販売車が来れば、上に住んでいる方は下まで下りて買い物に行かなくても食材やちょっとしたものがここで買えるよな、と妄想を膨らませつつ、この住宅団地を計画した方のここにビューポイントを仕込んでおく設計の巧みさに感心するのでした。
インタラクション・ポイント=相互作用点、それは人と自然、人と人、人とサービスが出会い、交流する「階段」こそが、こま武蔵台、そして郊外住宅団地の大きな魅力や可能性をもった場所であると言えるのかもしれません。